chemotherapy

化学療法外来および入院での薬物療法をご紹介いたします。

現在当院では、消化器(食道、胃、大腸、胆道、膵)および乳腺、原発不明の癌に対する薬物療法を太田が担当しています。ひとえに薬物療法といっても従来の抗がん剤と言われる殺細胞性(細胞を殺す)の抗がん剤のみの使用から、血管新生阻害薬などの分子標的剤の導入、さらに近年では免疫療法(免疫系を賦活化)の活用実施まで幅広く行われるようになりました。当センターではこれらの薬剤を最新のエビデンスに基づいたガイドラインを遵守しながら安全に実施しています。

例えば胃癌に関しては、2023年のASCO-GI(米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム)で発表されましたCheckmate649試験において、3年の長期予後成績が示されました。それによると、一次治療で化学療法単独群と化学療法+免疫チェックポイント阻害薬(ニボルマブ)併用群を比較した場合、併用群が単独群と比較して有意差をもって予後良好であったとの報告でした。もちろんこれをもって、すべての胃癌患者様が同治療の適応とはなりませんが、非常に重要な知見です。

また大腸癌では本邦で実施されたPARADIGM試験によりますと、RAS野生型(遺伝子診断)の切除不能進行再発左側大腸癌(体の左半分にある大腸)では、殺細胞性抗癌剤+抗EGFR抗体製剤の併用群の方が予後良好の結果が報告されました。このように薬物療法(抗癌剤)を取り巻く環境は、日進月歩で目まぐるしいものです。当院ではこれらの治療は、ほぼ全て実施可能です。

すなわち当院では来院された患者様に最新治験結果をご提示しながら、その長所(治療効果や予後)と短所(副作用などの有害事象)をご説明し、患者様の全身状態や社会環境、趣味、嗜好、お考えなどを総合的に勘案し、患者様にとって何がベストな治療なのかを共に決めていく、いわゆるShared Decision MakingSDM)を行っています。つまり患者様やそのご家族が安心し納得して治療を受けていただくために、時間をかけて説明していきます。もちろん、さらに高度な治療やゲノム遺伝子診断(遺伝子パネル検査)などが必要となった場合は、連携しています宮崎大学臨床腫瘍科や消化器外科に、乳腺などの専門病院(さがら病院宮崎)への紹介も可能です。またその逆に、遠方への通院が大変な場合は当院で治療を引き継ぐ事も可能です。いずれにしても、全国どの施設とも治療連携は可能です。

さらに癌による疼痛や不眠などで悩まれている患者様には、薬物療法をスムースに受けていただくために積極的な関与(疼痛緩和や、不眠解消などの支持療法)を行います。

また、化学療法ができない場合であっても、全人的医療の観点から緩和医療も積極的に行い、患者様やご家族の苦痛を和らげる治療を心がけています。患者様やそのご家族がより穏やかに、より健やかに過ごせるようにお手伝いを致します。

上記治療やケアをほぼ24時間体制で実施しています。

癌の治療やそれに関することでお悩みの方は、気軽にお尋ねいただくと幸いです。(文責:太田)

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